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<Statement>

循環は、私の絵のテーマのひとつです。

ひとつの生命の死に続く腐敗は、個体性の破壊と共に、新たな生命の発酵を示唆します。
世界は多様な生命から構成され、個体としての生命もまた世界の諸要素から構成されます。
生命は永遠に循環します。


私は、私の絵が上記の内容を示唆してくれることを望んでいます。
いつまでも変化しない本質的なものを忘れず、新しい変化を取り入れていくことが大切であると考えています。
私は、自分の考えを作品を通じて表明していくことが芸術家の使命だと思う。

<Biography>

生駒泰充は1956年に、日本の伝統の息づく街、京都で生まれた。

 

彼は、幼少期から、ものを作るのが好きで、大工になりたいと思った時期もあったが、徐々に絵を描くことに興味を持ち始め、中学生の時に見たレンブラント展に衝撃を受け画家を志すことになる。

 

その後、東京の武蔵野美術大学の油絵コースに進学した後、その大学院を修了した。

在学中はジャコメッティに心惹かれる時期もあったが、主に写実的な絵を描き、西洋古典絵画の技法も研究した。

 

大学院修了後は、1年間、高校の非常勤講師を務めた後、1982年より、養護学校で教員として働く。

しかし、その時期に現代スペインの画家、Antonio Lopez Garcia, Eduardo Naranjo, Jose Hernandezの存在を知り、彼らを生んだスペインという土壌を深く知りたいと考え、2年半で養護学校の職を辞し、1985年に、スペインに渡る。

 

スペインでは、最初Madridに住み、プラド美術館やギャラリーに足繁く通ったが、復活祭の期間中に旅行で訪れたGranadaの墓地に心ひかれ、その年の夏にGranadaに居を移す。

 

Granadaの墓地の裏の崖に放置された人骨を写生しに行った際、骨の重なりあった隙間から可憐な花が咲いているのを発見し感銘を受ける。その時の出来事が彼に示唆したこととは、

「一つの生命の死に続く腐敗は、個体性の破壊と共に、新たな生命の発酵を示唆する。世界は多様な生命から構成され、個体としての生命もまた世界の諸要素から構成される。生命は永遠に循環する。」

という一つの考えであった。

生命あるものが死に、朽ちて土に還る、そして、その土は養分となって新しい生命を育む、それは繰り返される。

東洋には、輪廻転生(samsara)という考え方があり、その考えと重なる部分もある。本来の仏教には、輪廻転生をするので、特定される個人としての死はない。According to original Buddhist teaching, there is no such thing as the death of a person, because people experience Rinne Tensho (all things being in flux through the endless circle of birth, death, and rebirth, the circle of transmigration).

そして、その時に現実のこととして、その考えに気付いたことは、彼にとって作品を作る上でとても重要なテーマとなった。

 

彼の絵画制作における技法は、20代は油彩画が主で、30代は卵テンペラと油彩、40代以降はアクリル絵具で制作されることが多い。

 

1987年に帰国し、現在は、京都精華大学で教授を務め、発表の場としては、美術団体である一般社団法人二紀会の委員として、主に二紀展で発表している。その他、個展やグループ展をギャラリーで行っている。

<略歴>

1956 京都市に生まれる

1981 武蔵野美術大学大学院修了 優秀賞

   第35回二紀展二紀賞(‘84同人賞、‘87安田火災美術財団奨励賞、‘92、‘98田村賞、‘01会員優賞、‘07鍋井賞、‘11栗原賞)

1982 文化庁現代美術選抜展出品

1985 スペイン・グラナダ美術学校に学ぶ(~‘86)

   10人の静物画家展(マドリッド・グレゴリオ・サンチェス画廊)

1988 安井賞展出品(同‘90賞候補)

   個展(蔵丘洞画廊‘98、‘92日本橋三越本店特選画廊、三島・茜画廊、‘00えどとりスクールミュージアム、‘02香川画廊)

1993 IMA「絵画の今日」展(同‘95‘97)

   ‘93東京セントラル美術館油絵大賞展(招待出品)

1994 現代絵画の断面‘94洋画KYOTO展(京都文化博物館、主催・京都府他)

1996 ‘96新鋭美術選抜展(京都市美術館、主催・京都市他主催)

1998 第4回前田寛治大賞展(推薦出品‘01)

2002 第21回安田火災美術財団選抜奨励展(東郷青児美術館、推薦出品)

2003 京都・洋画の現在展(京都文化博物館、主催・京都文化博物館)

その他、グループ展多数

<現在> 二紀会委員、京都精華大学芸術学部教授

<作品収蔵先> 箱根 彫刻の森美術館、えどとりスクールミュージアム(茨城)等

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